未来のチャンピオンを目指す選手へのインタビュー、第一回は意外にも「しゃべらない練習」をするお二人、山田・竹井組(JDCプロスタンダードA級)にお話をうかがいました。人柄あふれるユーモアたっぷりな対談をお楽しみください。(取材:すどう寛子編集員)
−−初めてのインタビューで緊張していますが、今日は宜しくお願いします。先生方もインタビューを受けるのは初めてということですが、とっくにダンス雑誌のインタビューとか受けてると思ってました。初インタビューということなので、いろいろ面白い話が聞けるのではとわくわくしています。まずはベタな質問ですが、ダンスを始めたきっかけは何ですか。
山田:僕はですね・・・公立大学に落ちたからです。
目指していた大学に落ちてしまって滑り止めだった大学に行くことになり、もう勉強はいいや、何か違うことをやりたいってなって。
実家がダンス教室なので社交ダンスははずそうと最初は思っていたのですが、部活見学でブレイクダンス部の練習をのぞいたらイカツイ人がいっぱい踊ってて、自分には無理だと思ったので向かいの教室で練習してた学連のダンス部に入ってしまったのがきっかけです。
−−で、卒業してそのままプロの道へ入ったのですか?
山田:卒業してからはまず楽天に入社したのですが、会社の歯車になるのが嫌で辞めてしまったんです。
そのあとゲーム製作会社にスカウトされてプログラミングのSEの仕事をしましたが、ストレスのたまる仕事だったので気楽にダンスを楽しみたいと思うようになって・・・。
そんなときに後輩のラテン専攻の子にちょこっとモダンを教える機会があり、その子と伊藤先生がつながっていて教室に連れて行かれたのがきっかけです。
−−教室に遊びに来た山田先生を伊藤先生が見染めたと・・・?
山田:(笑) 伊藤先生は若い男の子が来ると「うちに入れ、おまえは素質があるぞ〜」ってみんなに言うんで、僕はそのうちの一人だったんです。
−−竹井先生がダンスを始めたきっかけは?
竹井:父の姉がプロのバックダンサーで舞台を見て憧れて、それと同じ時期に見た友達のお姉ちゃんのバレエの発表会でバレエを習うことを決心しました。
まだ早いと渋る母に一年待たされて始めたのが小学校二年生の時で、それからず〜っと海外を目標に本格的にバレエを続けていました。
コンクールで外国の先生からバレエ留学を勧められて準備をしていたのですが、選考で体型の問題で落とされて・・・。
−−ええ〜っ、何ですか、それ?
竹井:何百人もの候補の中から数人を選ぶので、それこそ親の代から調査したりレントゲンで骨格を調べたり。
160センチだとプリマとしては高すぎるし、コールドには低すぎる微妙な身長だったんです。
で、留学の道が閉ざされて、極端な性格なので海外への道が閉ざされたと思ったらもうその先は真っ暗って思ってしまって(笑)
とりあえずバレエはなんとなく続けてはいましたが、以前のような熱意は無くなりました。
短大を卒業し、自分が何を目指していいのかわからなくなってしまっていたときにちょうど母が通っていたダンス教室の先生がパートナーを探していて、「誰でもいいみたいだし、綾ちゃんは昔バレエやってたし、今なにも目標がないのだったらとりあえず無料で教えてくれるっていうし(笑)やってみたら?」って。
初めはどうしても嫌だと断っていたのですが、プレステ買ってあげるからという甘言につられて始めることになってしまいました(笑)
で、まずは一カ月行ってみて、すると今度は一ヶ月後にデモンストレーションあるから、とか言われて。
じゃあ練習しなきゃ、ステップ覚えなきゃって。
そんなん聞いてないよ〜と思いながらも不思議と自分でも、「じゃあやるか」とやる気になってました。
で、そのあとも一カ月ごとに次はあれがあるからこれがあるから、とかいろいろ言われて。
たぶん、そういう風に言わないとやらないんじゃないかと思われてたんですね(笑)
−−でも竹井先生はもともとガンバリ屋で負けず嫌いだから、目標を定めるとそれに向かって一目散に突き進んでいくでしょ?それを見抜かれてたんですね(笑)
竹井:目標を作ってあげないとやらないんじゃないかとか思われてたみたい(笑)
興味を引き出さないと辞めちゃうんじゃないかとか。
で、そのままプロの道に入って行ったんです。
−−ではお二人が組んだきっかけは?
竹井:伊藤先生から私の教室のオーナーに電話で話が回ってきたんです。
「うちに新しい子が入ったから、誰かいいパートナーいたら紹介して」って。
山田:(笑)それっていつだっけ?10月?
竹井:私が解消した三日後、まだ誰にも解消したことを話していない頃だから9月かなあ・・・。
−−じゃあ、すごい偶然、運命的な電話だったんですね。
山田:僕が入社したのは10月でその2〜3か月前から練習には来ていたので、その電話はたぶん入社前に・・・練習に来ていただけの時にすでに「新しい子入ったから」・・・?(笑)
−−じゃあきっかけは・・・何だろう?伊藤先生の勇み足的なフライングアナウンス(電話)ってところですかね?(笑)
山田:フライングですね(笑)
−−で、お見合いしたと。そのときのお互いの第一印象は?
(注:ダンスの「お見合い」=踊り合わせ)
山田:しっかりした人だなあと思いました。
さすがプロだ、自分の意見をしっかり持っているんだなと。
今だからこそ言えるんですが、スタンダードダンサーだったので「スタンダードメインになるんですけどいいですか?割合でいえば9:1くらいになると思うんですけどいいですか?」って聞いたら、「一割でもラテンをしてくれるならいいです。」ときっぱりお返事くれて。
今は半々くらいでも文句言うんで、契約違反ですけどね。
−−その第一印象は今は変わりましたか?
山田:変わりましたね。
抜けてるな〜って(笑)
−−しっかりしてると思ったら、ちょっと抜けてた?
山田:「けっこう」抜けてるなあって(笑)
−−竹井先生の山田先生の第一印象はどんなでしたか?
竹井:まじめそうに見えるけど、けっこう口だけだなあって感じはちょっとありましたね(笑)
山田:え〜?最初だぜ?(笑)
竹井:なんか、人の話をあんまり聞かないなっていう印象がちょっとありました。
−−最初から核心的な印象ですね(苦笑)・・・その印象は今は変わりましたか?
竹井:そのまま(笑) (慌ててフォローする風に)いえ、話は聞いてくれるんです、ちゃんと聞いてくれるんだけれど、ちょっと上の空というか(笑)。
恥ずかしがっていたのか、ちゃんと目を合わせて話してくれない感じ。
だから、シャイなのかなあ・・・シャイなんだ、そうに違いないって決めつけちゃったんです(笑)
−−ってことは、第一印象はシャイな人だなあと(笑)?で、それは今も?
竹井:そのまま変わらず、今もシャイです。
−−ちなみに普段はどういう練習をしてるんですか?何か練習の時のこだわりとか決まり事とかありますか?
山田:う〜ん、こだわりというか、僕のなかでのこだわりなんですけど、「しゃべんない」です。
口でああじゃないこうじゃないって言い合ってもバトルになっちゃうから。
竹井:口で言い合って解決するんじゃなくて、常に競技会とかを意識して組んで相手の意思をくみ取ったり、それこそ組む前に立っている時から相手が自分がどれだけ集中しているのかとかを感じとりながら練習しています。
個人個人が集中してすべきことをして、相手のその集中力や意識に自分も便乗して行くというか・・・。
いい意味でお互いを刺激しあって。
狭い教室だから続けて踊れなくて、踊りが止まってしまってもだらけたりしないで、次にどうつながっていっても良い状態を保ったり。
そうすると、相手が何をやりたいのかとか自分がやりたいこととどう違うのかとかが言わなくてもわかるので、あえて口に出しては言わない。
ああ、じゃあ相手がこうしたいのなら自分はこうすればいいじゃないかとか、言葉で言わなくても集中してるとわかるんです。
山田:要は、相手に注文をつけない。
竹井:そう、つけない。
自分のすべきことに集中しつつ相手の意思をくみとって、さらに自分のすべきことを見出して集中するっていう?
山田&竹井:そうそうそう。
−−なんか、ダンスの真髄ですよね。
動きで会話するっていうのが。
じゃあ、普段練習では全然けんかとかもしないんですか?
竹井:これをするようになってからしなくなりました。
−−それでは体調維持のためや大会に向けて何かしてることとかありますか?
山田:竹井先生、ストレッチをよくやるよね?
竹井:ストレッチはしますね。
大会に向けてとかじゃなくて、普段からたっぷり。
私バレエで成長期に脚を開きすぎて骨盤を無理に開いてしまって、ある日突然歩けなくなってしまい、治してもらったんですがその痛みは社交ダンスを始めたときにもひきずってたんです。
4年くらい前にすごくいいスポーツ整体の先生に出会って治り、その先生がトレーニングの方法をいろいろ教えてくれて、身体の可動範囲が異常に広がったんです。
−−山田先生のほうは、何か体調維持のためにしていることとかありますか?
山田:僕は・・・好きなものを食べる。
−−ストレスをためない、みたいな?
山田:そうです。
基本的には大会に向けてとか調整したことは一回もなくて(笑)ただの通過点として、毎日同じような気持ち・スタンスで過ごしています。
特に何かしているといえば、好きなものを食べる、ですね。あと準備運動はあまりしない(笑)
−−え゛・・・それでも怪我はないんですか?
山田:ないです。
−−え〜、あるじゃん〜。膝が痛い、とか。
山田:ああ、フットサルですね(笑)
−−フットサルもされるんですか?
山田:フットサルは一回やって膝を痛めたんで辞めました(笑)
−−(笑)「フットサルが趣味なんですか?」って趣味の話につなげようと思ったのに(笑)ダンス以外の趣味はフットサルなんですか、って。
山田:(笑)違います。
僕がまだ新人だった頃に先輩先生が親睦のためにラテンの先生で作ってるフットサルの練習に連れてってくれたんです。
でも一発目で膝壊しちゃって(笑)ロアーができなくなった。
ナチュラルターンができなかった(笑)
竹井:そのあとイタイイタイって全然練習できなくて。
だからもうやめて、いかないで!って言いました(笑)
−−じゃあ、ダンス以外の趣味ってなんですか?
山田:スノーボードです。中二からやってるんで。
最近はちょっと行けてないんですけど、スノーボードはダンスよりは上手いかもしれないです。
−−でも怖くないですか?スノーボードで怪我すると練習にひびくかなあって?
山田:ん〜・・・怖くはないんですけど、フットサルの時の件があるんで、迷惑かけられないなっていうのはあります・・・万が一怪我したときに怒った竹井先生に怪我させられるほうが怖いです(笑)
一同:(爆笑)
−−竹井先生の趣味は?
竹井:私は一人旅ですね。
彼と組んでからはまだ行っていないんですけど・・・大好きなメイクアップアーティストのプロデュースするスパが高知にできたのでどうしても行きたくて一人で行ったり・・・。
二十歳の記念に、昔見た旅雑誌に載っていた旅館ですっごく気に入った旅館があったのでそこに行ったりとか。
突如と行きたくなるんです。
山田:よく駅にあるパンフレットを眺めては取って読んでるよね。
−−プランをあれこれ想像する・・・それもある意味趣味の一つですよね(笑)
竹井:中学のときとか切り抜いてノートに貼って雑誌みたいなのを作っちゃってたくらい好きですね。
山田:脳内旅行です(笑)
−−話は変わってしまいますが、試合の時のゲン担ぎってありますか?試合の日はかつ丼だ〜、とか、勝負パンツは赤だ、とか(笑)
山田:僕は、試合の前日にまともな練習をしないっていうのですね。
軽く流すだけの練習っていうことですか?
山田:いや、練習もしないんです。
竹井:レッスンは受けるんですけど。
山田:ふたりだけでの練習はしない、ですね。学生のときからそうです。
−−それは何か特別な理由があるんですか?
山田:当日ぎくしゃくするからです。
−−万が一けんかになると、当日ムードが悪くなるって?
山田:それもありますが、試合前日にごちゃごちゃいろいろ詰め込んだり考え込んだりしたまま試合に臨むと、当日「あ、きのうここで失敗したよな」とか頭をよぎるんで、前日はダラダラするんです。
−−なるべく頭をからっぽにするって感じですか?
山田:そうです。完全にスイッチを切ります。それを僕は心がけていますね。
−−じゃあ、竹井先生は?
竹井:私は試合に出るときに一回ものすっごく集中することですね。
一回スイッチをバチッと切り替えるというか、スイッチオンするというか。
山田:全然僕らのゲン担いでないよね(笑)神頼みじゃないもん(笑)神頼みとかゲン担ぎは正直全然してないから、ないです。
−−じゃあ、ゲン担ぎはしてないけれど、試合前に必ずすることはある、ってことですね?ふたりとも「スイッチの切り替え」っていう。
山田:僕はオフです。完全に切ります。彼女は直前にバチッとオンです。
−−なるほど。山田先生はスイッチを切ったまっさらな状態の自分をフロアへ持って行って、竹井先生はバチッと最大出力でスイッチを入れた自分をフロアへ持ってくと(笑)
竹井:ちょうど小さい頃初めて見た舞台で父の姉が踊っていた時のように、存在感とかカリスマのある見ているひとがすごいなと思うような女性に自分がなったと思ってフロアに出ています。
−−スイッチの使い方がふたりとも違うっていうのが面白いですね〜。
山田:フロアに入っていくと怖いです、隣が(笑)スイッチ入ってオーラが・・・。
−−でもその方がお互いを補い合っていてちょうどよいのかもしれないですよね。
片方がスイッチ切って無の状態で相手の出力を受けて増幅させて・・・みたいな。
最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします!
山田:これからもダンスを楽しみ続けます。応援宜しくお願いします。
竹井:これからも挑戦し続ける私たちを応援してください。
−−今日はお互いをうまく補い合っているお二人に面白いお話をうかがえました。これからもスイッチング機能をうまく利用してダイナミックなダンスをフロアで見せてください!!ありがとうございました。
(華麗でダイナミックなダンスをフロアでは見せてくれるお二人、お話をうかがうととっても普通の男の子・女の子で、とっても清々しい印象でした。ぜひ皆さんも競技会で見かけたら応援してくださいね。)
<山田・竹井組プロフィール>

●誕生日
山田:1983年7月8日 七夕の次の日。逆に覚えにくい。
竹井:19xx年6月8日 年齢不詳で。
●身長
山田:177cm もう少し伸びれば夢の大台180cm。
竹井:161cm ダンスを始めて身長伸びた。
●血液型
山田:O型 かなりの大雑把。口癖は「うん、まぁいいんじゃない?」
竹井:A型 かなりの几帳面。その割には肝心なところが抜けてる。
●出身地
山田:群馬県 埼玉をダサいたまと思っている。
竹井:埼玉県 群馬を田舎だと思っている。
●好きなダンサー(尊敬するダンサー、国内外、時代、知名度問わず)
山田:うちの親父 群馬でダンススタジオ経営してます。
伊藤金四郎 新小岩でダンススタジオ経営してます。
竹井:シド・チャリス 代表作は「バンドワゴン」
シルビー・ギエム 代表作は「ボレロ」
●相手を動物に例えると?
山田:アホウドリ 名前がしっくり。それに飛ぶと実は速い。そんなところも似てる。
竹井:カワウソ いつ汗かいてヌメッとしているから。
●好きな種目
山田:社交ダンス 全部好き
竹井:ルンバとワルツ 曲が好き
●好きな食べ物
山田:寿司、焼肉、ラーメン この3つのローテーションで生きていける。
竹井:寿司、モッツァレラチーズ 基本的に食べ物なら何でも可。
●苦手な食べ物
山田:シャコ グロい。
竹井:ニンジンの甘煮 野菜が甘いなんて考えられない。
●ダンス以外の趣味特技
山田:スノーボード 山っ子なので。ダンスよりうまいかも。
竹井:料理 得意料理は魚の煮つけと豚の角煮。煮物ばっか。
●休日の過ごし方
山田:昼過ぎまで寝てずっとダラダラ。そしてサザエさんを観ながら一日を後悔する。
竹井:カフェでまったり。そして散歩しながら日光浴。動いてないと落ち着かない。
●印象深い戦歴(3つ)
山田:2009スタンダードDN級 プロデビュー戦。率直な感想は「人数少なっ!」
2009UK派遣選考会 まさかの優勝。思わぬきっかけで初海外の切符を手にした。
2010UK選手権大会 初海外試合。まさかラテンの方が成績良いとは…。複雑。
竹井:2010アジアオープン 真っ白なドレスで真っ黒なレッグウォーマーをつけたまま出場。
2010UK選手権大会 すごい迫力。鳥肌総立ち。いざ、目指せ外人。
2010ラテンDN級 久しぶりのラテンの試合。嬉しくてそわそわ。
協力: 伊藤金四郎ダンススタジオ URL http://www3.plala.or.jp/kinta0331/index.html
ヒウラダンススクール大宮教室 URL http://www.hiuradance.com/index2.htm